こんにちは、洋服のお直しのCoCotonです。
前回のブログでは丈詰めを行う際の採寸についてご紹介いたしました。
今回は、裾の仕上がりについて名称と特徴をいくつかご紹介します。
パンツの素材によって同じ仕上げ方でも印象の違うものや、用途によって向き不向きがあったりするので今後丈詰めを依頼する際の参考にしていただければと思います。
①ステッチ仕上げ(三折り仕上げ・ロック&ステッチ仕上げ)
デニムやチノパンなどカジュアルパンツに多くみられる仕上がりです。
パンツの表裏にステッチが入っており、後に紹介するシングル仕上げなどと比べると丈夫な仕上がりなので作業着などワークパンツに向いています。
パンツ本体の色と同色系の色でステッチをかけると統一感が生まれ、違う色でステッチをかけるとデザイン性が強まります。
ストレッチの強いパンツだと糸が伸びないのでステッチのかかった部分の布も伸びにくくなりますがほぼすべての素材に対応可能です。
三折り仕上げとロック&ステッチ仕上げの方法の違いは端的に述べると布を折る回数の違いです。
ロック&ステッチ仕上げのほうが三つ折りに比べて1回少なく、厚みのあるパンツの裾を軽くみせる際に用いられることがあります。
②ダメージ残し仕上げ
通常のステッチ仕上げの場合は出来上がり寸から必要な縫い代をとったらカットしてしまいます。
デニムなどの裾にデザインとしてヴィンテージ加工のあるパンツはせっかくのデザインがなくなってしまうのです。
ダメージ残しで仕上げる場合、希望寸まで短くした本体のパンツをデザインの残った裾で挟み込んでステッチをかけることで裾の風合いを残すことが可能となります。
ただ、丈詰めをする前よりも布が増えるので厚みが生まれ、もともとのステッチは解かないと作業できない為ステッチはどうしても似寄せの糸に変わってしまいます。
③チェーンステッチ仕上げ
表からみると通常のステッチ仕上げと変わりはありませんが、裏側をみるとチェーンのような鎖状のステッチとなっております。
縫い目に伸縮性があり洗濯などでステッチが捩れるので長く穿き込むと斜めの色落ち(アタリ)がでてきます。
また通常のステッチよりも太い線になるのでロールアップをして穿く際のアクセントにもなります。
④シングル仕上げ
スーツスラックスや冠婚葬祭の際に着用する礼服によくみられる仕上がりです。
裾始末を施した後にヘム(折り返し用の布)をまつり縫い(掬い縫い)をし、表に縫い目の出ないように仕上げます。
また、シングル仕上げは表にステッチがないことから他の仕上り方法よりすっきりと綺麗な印象を与えるのでビジネス・フォーマルシーン以外の婦人のテーパードパンツなどにもこの方法で仕上がっていることが多いです。
ヘムを多く残すと、丈出し(丈を長くすること・現状の折り跡が表に出ます)も可能なので成長期を迎える中学・高校の学生服にも用いられたりします。
生地の織り糸を少し掬って縫う為解けやすく、デニムのように厚みのある生地やジャージのように伸縮性の強く動きの激しい場面で履くようなパンツにはあまり向きません。
また、生地が薄すぎるものやナイロンパンツのような素材のパンツだと、特性上掬い跡が響いてしまう場合があります。
⑤モーニング仕上げ
シングル仕上げのようにも見えますが、前身頃と後ろ身頃で前後差をつけ仕上げることで靴の甲に布がたるまないようになります。
モーニングコートのパンツの裾がこの形をしていることからの由来で、アングルドボトムが正式名称です。
お直しでモーニングにする時はまっすぐの布を斜めにまつり上げるので布が捻じれ、きれいなモーニングになりにくく、シングルモーニング以外の仕上がりには出来かねます。
⑥ダブル仕上げ
裾を表に折り上げ脇留めをした仕上がりです。
その昔、シングルスラックスを泥や雨から汚れるのを防ぐために折り上げたものが起源とも言われています(諸説あり)。
シングル仕上げに比べ重量感やカジュアルな印象を与えます。
折り返しの部分を『カブラ』といい、ダブルで仕上げるには希望のカブラ幅から3倍程の布が必要となります。
ネットのように個人で採寸し、依頼をするような場合には、出来上がり寸法から今どのくらい布があるかを確認し÷3をするとカブラ幅の最大値を知ることができます。
また、礼服は上記で述べたようにダブル=カジュアルという印象がある為用いることは少ないです。
シングル同様ヘムはまつり縫いを施すので解けやすく、厚みのある生地でカブラ幅を細くしてしまうときれいに折り上がらないことがあるので、その場合は太めのカブラ幅をおすすめします。
脇留めをスナップボタンにすると手入れの際にカブラの中に溜まった埃等を取りやすくなりますが、ボタン分の厚みが生まれる為カブラが歪んでみえる場合があります。
糸留めの場合は凹凸がなくスナップボタンに比べると安価に仕上げることができます。
⑦フラットロック仕上げ
ジャージやスウェットなどの伸縮性のあるパンツに用いられることが多く、表から見ると2本の並行したステッチがかかっており裏側はロック始末したような仕上がりとなっております。
一般的にはカバーステッチと呼ばれており、このフラットロックというのは数あるミシンメーカーさんが販売しているミシンの商品名の一つです。
⑧メローロック仕上げ
縁かがりを施したような見た目で薄く柔らかいシフォン素材のパンツや細めのプリーツパンツに見られる仕上がりです。
裾を軽く、華奢に魅せるのでそれだけでデザイン性が生まれます。
裾が伸びてフレアな仕上がりになるので裾がプリーツ形状のものなどはを注意が必要です。
その他にもスリットのあるパンツやリブ、ファスナーなど裾に装飾にあるパンツを現状と近くなるよう再現して丈を詰めるといったお直しも承っております。
※ベンツ付きパンツなど一部再現不可なパンツもあります(>_<)
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